尿中Alb・α1MG・β2MGに替わる腎機能マーカー | ||||||||||||||||||
主な対象疾患:尿細管間質障害、糖尿病性腎症、糸球体機能の異常 | ||||||||||||||||||
尿中シスタチンC (Urinary cystatin-C) |
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概説・臨床的意義 | ||||||||||||||||||
シスタチンC(Cys-C)は、非糖鎖性のアミノ酸120残基からなる分子質量13.359ダルトンの一本鎖のポリペプチドで、システインプロテアーゼインヒビターの一種です。等電点9.3の塩基性を示し、pHや熱による安定性が高いことが確認されています1)。Cys-Cの産生源は全身の有核細胞で、コードする遺伝子がハウスキーピングタイプであるため、細胞内外での環境変化に影響を受けずに、コンスタントに産生分泌されています。このため、血中濃度が一定で、疾患による濃度変化が極めて少なく、その他、年齢、性別、筋肉量、運動などの影響も受けません。 血中のCys-Cは腎糸球体基底膜を自由に通過し、その99%以上が近位尿細管から再吸収・異化を受けるため、尿中にはごくわずかの量しか排泄されません。 尿中動態はβ2マイクログロブリンやα1マイクログロブリンと同様で、尿細管・糸球体機能の異常を反映して排泄量が増加しますが、Cys-Cはその物理化学的性状(分子量、分子形、荷電)により、尿クレアチニン(Cr)と良好な相関性を示すことから(図1d)、尿Cys-C/尿Cr比による尿細管機能の評価(図2)3〜6)、ならびに糸球体の機能変化(図3)2〜5)において他の指標成分より早期段階での異常が検知できます。よって、糖尿病性腎症をはじめとする腎疾患の早期診断はもとより、尿蛋白をはじめとする尿細管間質障害促進因子による腎機能低下の進行を把握するための尿細管間質障害の早期発見法としても活用できます。 |
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検査要項 | ||||||||||||||||||
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参考文献 | ||||||||||||||||||
1) Grubb A, et al: Human gamma-trace, a basic microprotein: amino acid sequence and presence in the adenohypophysis. Proc Natl Acad Sci USA 79: 3024-3027, 1982. 2) 後藤明子 ほか: 尿中シスタチンC測定による腎症の新しい早期診断法の開発. 臨床検査機器・試薬 20: 807-816, 1997. 3) Uchida K et al: Measurement of cystatin-C and creatinine in urine. Clin Chim Acta 323: 121-128, 2002. 4) 濱野康之ほか: 糸球体血圧および尿細管間質障害の新しいマーカーとしての尿中シスタチンC測定. 日本臨床検査自動化学会会誌 28: 164-172, 2003. 5)内田壱夫ほか: 尿検査教本2003-2004─これからの腎機能検査としての尿臨床化学(伊藤機一 ほか 編), 38-47, 臨床病理刊行会, 2003. 6)Herget-Rosenthal S. et al: Prognostic value of tubular proteinuria and enzymuria in nonoliguric acute tubular necrosis. Clin Chem 50:552-558,2004. |
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