2000年以降の弊社研究開発部の対外活動を紹介しています。

(文中の「京都医科学研究所」の正式名称は、株式会社いかがく 付属 京都医科学研究所)


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学会発表
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2007年
開催期日 2007年10月24-26日
学会名 第66回 日本公衆衛生学会総会(松山)
演題名 成人における歯の喪失と口腔内炎症反応および全身状態との検討
発表者 馬場みちえ、畝博、埴岡隆、谷原真一、今任拓也、松瀬亮一
九州大学医学部、福岡大学医学部、福岡歯科大学、福岡大学医学部、福岡大学医学部、いかがく
抄録 健康日本21の中で成人における口腔保健は8020を実現するために重要であると示されている。しかし、成人において口腔保健の指導展開方法が十分論議され、普及されているとはいい難い。本研究の目的は、歯の喪失が口腔内炎症反応と関連があるのかどうか、また生活習慣および健康状態と検討し、保健指導のあり方を考えることである。
【対象と方法]
対象は、2006年に事業所で行われた定期健康診断および歯科検診、歯肉溝滲出液生化学検査を受診した40歳~65歳の男女である。そのうち本調査に同意が得られかつデータがそろった518人(男352人、女166人、平均年齢50.8±6.24歳)とした。評価指標は、歯科検診結果から喪失歯数と他に5項目(未処置歯数、処置歯数、う蝕C4以上、CPIがP3以上、口腔内清掃度)、歯肉溝滲出液生化学検査項目から4項目(ラクトフェリン(Lf)、アンチトリプシン(At)、ヘモグロビン(Hb)、IgA)、自記式質問表で生活習慣3項目(喫煙、飲酒、間食をする)、全身状態を定期健康診断結果から7項目(BMI、収縮期血圧値、拡張期血圧値、腹囲、HbA1c、中性脂肪、HDL-C)とした。解析には、χ2検定およびt検定を用いた。検査値Lf、At、IgA、Hbは、Log(X+1)を対数変換したのちt検定を行なった。その後喪失歯を従属変数として、年齢(連続変数)、性(2項目、以下同じ)、口腔内清掃度(2)、喫煙(2)、飲酒(2)を説明変数として強制投入し多重回帰分析を行った。解析はSPSS11.5を用い、5%を有意水準とした。
【結果】
1)全体の平均喪失歯数は、1.78±2.8本であった。喪失歯で「0本」216人(42.3%)、「1本以上」295人(57.7%)に群分けした(以下、有無という)。2)喪失歯有無において①年齢(P<0.01)、未処置歯数(p<0.01)、処置歯数(p<0.01)、う蝕C4以上、CPIのP3以上、口腔内清掃度で有意差がみられ、性別、間食では差がみられなかった。②口腔内炎症反応であるLfは、338.8±243.6と392.6±324.7(t=2.047、P=0.04)であった。At、IgA、ASTでは、「1本以上群」の方が高値であるものの有意差はみられなかった。また喪失歯を従属変数とした多重回帰分析では、標準化係数が「年齢」0.133(p<0.01)、「喫煙」0.107(P=0.024)、「Lf」0.100(P=0.025)であった。③全身状態のうちHbA1cで有意差がみられた。
【考察】
以上のことから、歯の喪失は口腔内健康状況、喫煙、HbA1cと関連していた。現代では歯周疾患が全身に影響を及ぼすことが明らかにされている。成人において口腔内の適切な保健行動・習慣の維持することは、全身の生活習慣病予防のためのセルフケア行動変容過程と似ている。保健行動変容のためには、自己管理能力の向上していくために口腔内健康状況も含めいろいろな形で支援をしていく必要がある。
開催期日 2007年9月8-9日
学会名 第25回 日本大腸検査学会総会
演題名 大腸癌スクリーニングにおける便中各種マーカーの検討
発表者 吉岡大介、高濱和也、長谷川申、平田一郎1)松瀬亮一2)
1)藤田保健衛生大学 消化管内科2)京都医科学研究所
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開催期日 2007年9月8-9日
学会名 第25回 日本大腸検査学会総会
演題名 便潜血検査における非腫瘍性疾患の鑑別
発表者 松瀬 亮一* 平田 一郎**
*京都医科学研究所 **藤田保健衛生大学 消化管内科
抄録 【目的】
現在、全国的に実施されている大腸がん検診では、スクリーニング法として、便検査が広く利用されているが、癌以外の疾患でも陽性となる場合があり、精密検査の費用と手間が増加することで検診の効率が低下している。これまで、我々は、大腸癌を含む消化管疾患を対象に便中の様々な成分を測定しているが、今回、スクリーニング法の効率化を目的として、大腸癌とそれ以外の疾患の判別という面で各便中成分測定の有用性を検証したので報告する。
【方法】
大腸癌70例、潰瘍性大腸炎141例(活動期86例/非活動期55例)、クローン病157例(活動期82例/非活動期75例)、胃癌18例、アミロイドーシス6例、吸収不良症候群3例、蛋白漏出性胃腸症5例、低蛋白血症4例、Cronkhite-Canada症候群3例、大腸エンドメトリオーシス3例、感染性腸炎2例および健常対照31例の便を採取し、Hb、トランスフェリン(Tf)、α1アシドグリコプロテイン(AG)、α1アンチトリプシン(AT)およびラクトフェリン(Lf)をELISA法で測定した。また、大腸がん検診スクリーニング群960例についてもATを除く4項目を測定した。
【結果】
便中Hb は大腸癌、潰瘍性大腸炎、Cronkhite-Canada症候群で特に高く、次いでクローン病、大腸エンドメトリオーシスで高かった。便中Tf は大腸癌、潰瘍性大腸炎で特に高く、次いでクローン病、アミロイドーシスで高かった。便中AG はCronkhite-Canada症候群、アミロイドーシスで特に高く、次いで大腸癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃癌、大腸エンドメトリオーシスで高かった。便中AT は吸収不良症候群、Cronkhite-Canada症候群、蛋白漏出性胃腸症で特に高く、次いでクローン病、胃癌で高かった。便中Lf は潰瘍性大腸炎、Cronkhite-Canada症候群、大腸エンドメトリオーシスで特に高く、次いでクローン病、大腸癌、胃癌で高かった。また、健常対照と検診スクリーニング群の比較で、Lfは同等であったのに対し、Hbは検診スクリーニング群が健常対照よりも高値であった。
【考察】
便中の安定性の異なる出血マーカーや炎症マーカー、蛋白漏出マーカーは、疾患毎に特徴的な測定結果となることが確認された。これらの特徴を利用することで、より効率的な大腸疾患のスクリーニングを行える可能性が示唆された。
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開催期日 2007年8月31日-9月4日
学会名 14th Congress of the International Pediatric Nephrology Asssociation (Hungary)
演題名 Prevalence of Urinary BK Virus and JC Virus in Patients with Renal Transplantation
発表者 M. Hattori1, K. Maekawa1, J. Sawaki1, C. Takahashi1, H. Mae1, N. Ayabe1, T. Tanizawa1, A. Gotoh2
1Hyogo College of Medicine, Pediatric, Nishinomiya, Japan
2Kyoto Medical Science Laboratory, Kyoto, Japan
抄録 Background:
Polyoma virus (BK virus and JC virus) reactivation arises from immunocompromised conditions and can produce a tubulointerstitial nephropathy in renal transplant recipients (KTR). Approximately 5% of KTR develop BK virus nephropahty, and about 45% of these lose their graft. Objective: This study was we evaluated BK virus and JC virus in urinary after renal transplantation. Methods: Because these polyoma viruses are excreted in urine, these 12 patients (7 females and 6 males, 16.1±6.7 years old) was analyzed by polymerase chain reaction. All patients were living donor renal transplantation from a parent.
Results:
Two patients have detected BK virus in urine. As the type of immunosuppressive treatment, one had tacrolimus and mycophenolate mofetil, and one more had methylprednisolone and tacrolimus. Seventeen percent of the patients had quantifiable BK virus-DNA in urine. Thirty-three percent of the patients had quantifiable JC virus-DNA in urine. There was non significant relationship between these polyoma viruses in urine and the type of immunosuppressive treatment. No patients developed interstitial nephritis during the study.
Conclusions:
The activation of BK virus and JC virus does not seem to be related to the type of immunosuppressive treatment. The pathogenetic role of polyoma virus infection in renal transplantation recipients further researches are needed.
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開催期日 2007年7月5-7日
学会名 第26回日本臨床化学夏期セミナー
演題名 尿シスタチンC測定標準化に向けての基本検討
発表者 (株)いかがく 研究開発部 後藤 明子 濱野 康之 内田 壱夫
旭川医科大学医学部臨床検査医学  伊藤 喜久
抄録 血清シスタチンCは分子量13kDaの低分子蛋白で、欧州ではGFRマーカーとして利用されている。本邦においても一昨年9月に保険収載が決められ、新規な腎機能検査項目として利用が開始された。一方、尿シスタチンCについては、低分子蛋白尿を反映する新たなマーカー蛋白として、今後の臨床応用が期待されている。血漿タンパク専門委員会のシスタチンCプロジェクトでは、2006年度の第25回夏期セミナー(札幌)において、血清シスタチンCの標準化を目的としたrecombinant cystatinC(DakoCytomation Cystatin C Calibrator, 7.56mg/l)を仮の標準物質として用いての、6種類の製造メーカー測定法の方法間差の調査結果について、何がしかの系統誤差を認めるものの、将来国際標準品の導入により標準化は実現可能であると見通しを得たことが報告された。
今回は、尿シスタチンC測定法の標準化に向けての基本検討の一環として、尿シスタチンCの容器素材への非特異吸着量について検討したので報告する。
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開催期日 2007年6月21-24日
学会名 European Dialysis and Transplanet Association (Spain)
演題名 Impact of myeloperoxidase on lipids oxidation and carotid plaque formation in hemodialysis patients.
発表者 Hirokazu Honda, Masashi Ueda, Shiho Kojima, Shinichi Mashiba, Eijin Ashikaga, Yuki Hirai, Kei Matsumoto, Masanori Mukai, Makoto Watanabe, Tadao Akizawa
Department of Nephrology, Showa University School of Medicine, Ikagaku Co.Ltd
抄録 MPO is an important source of oxidative stress in HD pts, however, associations between MPO, lipid oxidation, and atherosclerosis in those pts are not fully evaluated.
In one hundred and eighty-six HD pts (aged 65 ± 13 years, 58 % males, diabetes mellitus: DM 31%, HD vintage 77 months: range1.0-346), WBC count including differential WBC, high sensitive C-reactive protein (hsCRP), s-albumin (s-Alb), lipids (Cholesterol : chol, HDL-chol, LDL-chol, oxidized(ox) HDL-chol, oxLDL-chol) and oxα1 antitrypsin(AT) as an activated PMN-linked oxidative stress marker were measured before HD session. Carotid artery intima-medial thickness (IMT) was analyzed.
MPO levels were correlated with WCC (rho=0.18, p=0.01), ox LDL-chol (rho=0.44, p<0.0001), ox HDL-chol (rho=0.32, p<0.0001), ox AT (rho=0.60, p<0.0001) and max IMT (rho=0.25,p=0.001) that was the maximum IMT measured in the bilateral. Ox HDL-chol and ox AT levels as well as ox LDL-chol were significantly increased in a high MPO group divided by median MPO level, whereas HDL-chol and LDL-cho levels did not differ between a high and a low MPO group. MPO (b=0.11, p=0.04) and ox LDL-chol (b=0.13, p=0.008) were independently associated with max IMT by a backward stepwise multivariate regression analysis included age, gender, DM, hsCRP, MPO, HDL-chol, ox HDL-chol, oxLDL-chol, and oxAT as independent factors (adjusted r2=0.28). In this model, ox AT tended to be linked to max IMT (b=0.09, p=0.08) but not for oxHDL-chol. In conclusion, MPO seems to influence lipid oxidation and plaque formation as a consequence of excess oxidative stress in HD pts.
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開催期日 2007年4月25-27日
学会名 第80回 日本産業衛生学会総会
演題名 歯肉溝滲出液生化学検査の集団検診への適用
Utilization of Biochemical Test System Using Gingival Crevicular (Retention) Fluid
発表者 松瀬亮一*、馬場 みちえ**、畝 敏***、埴岡 隆****
*(株)京都医科学研究所 **九州大学医学部 ***福岡大学医学部
****福岡歯科大学社会医歯学部門口腔保健学講座
抄録 【目的】
近年、歯周病が糖尿病、心臓血管疾患、脳卒中、骨粗鬆症、妊娠異常といった全身性疾患に関連することが明らかになってきた。個人のライフサイクルの中で、歯周組織の炎症状態を早期に認識し改善することは、歯周病の進行阻止だけでなく、QOL低下と全身の健康リスクの低減にも意義があるものと思われるが、現在大半の集団検診で歯科は組み込まれていない。発表者らは、集団検診で歯科検査を容易に実施する目的で、歯肉溝に滲出し歯肉溝に貯留している体液すなわち、歯肉溝滲出/貯留液(GCF)を測定試料とする歯科検査を開発している1)。今回、事業所健診1187名において、GCFを採取し、炎症関連物質等7項目について測定した結果と、健診への適用のために重要な各成分の保存安定性試験を実施した結果について報告する。
【方法】
測定対象は、事業所健診の受診者1187名(25施設)で、健診時にGCF採取を行ない、同時に歯科医師による口腔診査と、口腔衛生に関する自記式のアンケート等を実施した。対象者の内訳は、男754名、女433名で、GCFは、歯科衛生士が、筆状の採取部分を持つ専用採取器具を用いて定まった4点から採取し、保存液の入った容器中で測定まで4℃で保存した。測定を行った項目は、赤血球由来で出血の指標となるヘモグロビン(Hb)、血清由来蛋白で出血および毛細血管の漏出の指標となるα1-アンチトリプシン(AT)、好中球の顆粒蛋白で抗菌物質であるラクトフェリン(Lf)、局所産生性の免疫グロブリンで生体防御反応の指標となるIgA、細胞に存在する酵素で、歯周組織破壊の指標となるアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリフォスファターゼ(ALP)および乳酸脱水素酵素(LDH)とした。Hb、AT、IgA、Lfは抗ヒトポリクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法により測定した。AST、ALP、LDHはそれぞれ血液検査用の試薬を流用して生化学自動分析装置で測定した。保存性試験は、同様に専用採取器具を用いて採取した10例の試料を保存液の入った容器中で25℃、37℃で1週間、50℃、70℃で2日間保存し、同様にHb、AT、Lf、IgA、AST、ALP、LDHを測定した。
【結果および考察】
健診受診者1187名のGCF検査7項目の検査値は、Hbが44.5±109.7ng/ml(mean±SD)、ATが165.2±245.5ng/ml、IgAが1047.6±1103.0ng/ml、Lfが307.4±254.2ng/ml、ASTが5.1±7.3U/l、ALPが2.2±2.2U/l、LDHが1.6±1.1U/lであった。このうち、Hb、AT、Lf、IgA、ASTおよびALPについては、CPI3未満とCPI3以上に分割した2群において、検査値間に有意差がみられた。保存性試験では、Lf、AT、IgAが良好な保存性を示し、いずれも37℃1週間で顕著に減少しなかったが、他の項目は25℃1週間での減少が大きく、健診への利用には、注意が必要であると考えられた。
【結論】
本検査は筆型採取器具により簡便で、また検体検査であることで客観性および効率性に優れていることから、集団健診への容易に導入できると考えられた。本検査の利用により、歯科健診の実施を拡大できれば、早い時期に歯周疾患の進行を防止し、QOLを維持できるだけでなく、全身の健康リスクも低減できると考えられた。
(参考文献)
1)松尾忠行ほか:歯肉辺縁部に貯留する炎症性物質はライフスタイル因子と関連する, 口腔衛生学会雑誌 56:269-279, 2006.
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2006年

開催期日 2006年11月 9-11日
学会名 第53回 日本臨床検査医学会学術集会(弘前市)
演題名 糖尿病患者における血清および尿中シスタチンCの臨床的意義について
発表者 石丸安明*1、石丸安世*1、後藤明子*2、内田壱夫*2、片山茂裕*3
*1石丸医院、*2株式会社いかがく、*3埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科
抄録 【背景】
Cystatin-C(以下Cys-C)は、全身の有核細胞から産生されその濃度は一定で年齢・性別・運動量などの影響は殆ど受けないとされている。また、Cys-Cは糸球体で濾過された後99%が近位尿細管で再吸収される。これらの特性より血清Cys-Cは血清クレアチニン(以下Cre)よりも優れた糸球体濾過率(以下:GFR)を反映するとされ、また尿中Cys-Cは尿細管障害を反映することも報告されている。
【目的】
今回我々は糖尿病患者の血清及び尿中Cys-Cを測定し糖尿病性腎症の早期診断における臨床的意義を検討した。
【対象と方法】
通院中の1型及び2型糖尿病患者を対象に横断調査を行った。血清Cys-Cはラテックス凝集比濁法(基準値;0.59-1.03[mg/l])を用いて、尿中Cys-Cは後藤らによるELISA法(基準値;100[ng/ml]以下)を用いてそれぞれ測定した。各症例で(血清及び尿中Cre、尿中微量Alb、尿中Proなど)により分類(1期(前期):尿中Alb30[mg/g・Cre]以下・2期(早期):尿中Alb30?300[mg/g・Cre]・3期(顕性期):持続性蛋白尿・4期,5期(腎不全・透析期):血清Cre2.0[mg/dl]以上,透析中)を行い、同時に測定した既存の各パラメータ(トランスフェリン〈以下TF〉、β2MG、Ⅳ型コラーゲン〈以下Col〉など)とも比較し、血中及び尿中Cys-Cの臨床的意義を検討した。
【結果】
被検者は906名(M:F=568:338)であり、全体の平均年齢;61.2(17-94)歳、罹病;13.2年、HbA1c;7.2%であった。腎症分類では1期;488、2期;294、3期;99、4,5期;25名であった。
(1)・腎症の進展に伴い年齢、罹病期間、収縮期血圧は高値を示した。一方、BMI及びHbA1cは有意差を認めなかった。腎症1期から3期にかけてはOHA治療が多くを占め、4期以降ではInsulin治療が主体であった。血清Cys-Cと血清Creでは良好な相関関係が得られた。・血清Creは、腎症1期と2期では有意差を認めなかったが、3期、4, 5期では上昇を示し各病期で有意差を認めた。血清Cys-Cは1期に比し2期で有意な高値を示し、更に3期、4, 5期においても上昇を示し各病期で有意差を認めた。
(2)尿中Cys-Cと尿中Creとの相関関係は不良で一部両者での乖離例を認めた。尿中Cys-Cは1期、2期、3期では有意差を認めず、4, 5期で有意な上昇を認めた。尿中Cys-C/Cre比においては1期に比し2期で有意な高値を示し、更に3期、4, 5期においても上昇を示し各病期で有意差を認めた。糸球体障害を示唆するⅣ型Col、及びTF、またNAG及びβ2MGは腎症の進行に伴い各々有意な上昇を示した。
【考察】
血清Cys-Cは、血清Creに比し早期腎症の時期から既に高値を示すことが示唆された。近年血清Cys-Cは糖尿病性腎症の早期腎症に有用であるとの報告がなされているが今回の我々の検討においても同様の結果が得られた。尿中Cys-C/Cre比による検討においても早期腎症の時期から高値を示し且つ腎症進展に伴い有意に増加を認めた。尿中Cys-C/Cr比は尿細管機能の優れた評価法であるとされていることから早期腎症では糸球体障害の他に尿細管障害の存在も関与していると考えられた。またその他の尿中パラメータと同様腎症評価の有用な検査法であることも示唆された。
【結語】
Cys-Cは糖尿病性腎症の早期診断はもとより尿細管間質障害による腎機能低下を把握するためにも有用な検査法であると考えられた。
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開催期日 2006年11月 9-11日
学会名 第53回 日本臨床検査医学会学術集会(弘前市)
演題名 尿中シスタチンC/クレアチニン比測定による早期腎障害マーカーとしての有用性の検討
発表者 後藤明子*1、真柴新一*1、早瀬泰行*1、ラーリ W. ハンキンズ*1、
真部聖子*2、大蔵隆文*2, 
*1株式会社いかがく, *2愛媛大学医学部第二内科
抄録 【目的】
シスタチンCはシステインプロテアーゼの一種で、体内においては、細菌およびウイルスの増殖を抑制したり、炎症時にはマクロファージ由来のシステインプロテアーゼを抑制することで、生体防御を行っている。シスタチンCは、その遺伝子がhousekeepingtypeであるために、細胞内外での環境変化に影響されずに、つねに一定の割合で全身の有核細胞から産生分泌されている。従って、血中濃度が一定で、疾患によって変動しないという特徴から血清シスタチンCがクレアチニンより優れたGFRマーカーであるとして利用されている。
我々は、シスタチンCが分子量13,400の低分子蛋白で、等電点が9.3を示す塩基性の強い蛋白である点に着目して、尿中シスタチンCの臨床的意義について研究を進め、尿中シスタチンC/クレアチニン比(UCCR)が尿細管間質障害の早期マーカーであることを報告してきた。今回、糖尿病患者(DM)および本態性高血圧患者(HT)においてUCCRを測定し、その有用性を微量アルブミン排泄指数(AEI)と比較検討したので報告する。
【対象と方法】
対象は、クレアチニンクリアランス(Ccr:cockcroft & Gault Equation)100以上のHT群18名、DM群13名、HT+DM群17名、また、AEI 30mg/g・Cr以下のHT群40名、DM群29名、HT+DM群33名を用いた。尿中シスタチンCはELISA、尿中クレアチニンはjaffe法、尿中アルブミンはTIA法で測定した。
【結果】
Ccrが100以上のHT、DM、およびHT+DMの3群において、Ccrは順に、118.0±14.5(mean±S.D.)、123.3±20.4、および133.0±25.5であり、UCCRは、0.42±0.17、0.52±0.16、および0.60±0.14であった。HT+DM群はHT群と比較して有意に高値を示した(Ccr:p<0.05、UCCR:p<0.005)。AEIはどの群間(HT:38.0±46.9、DM:18.1±25.9、HT+DM:49.5±60.9)においても有意差は認められなかった。また、AEI正常値以下群では、UCCRのみHT群(0.39±0.14)に比べHT+DM群(0.56±0.22)が有意(p<0.0005)に高値を示した。
【考察】
糖尿病患者における高血圧の合併は、心血管系疾患の発症率を増加させ、さらには糖尿病性腎症を促進することが知られている。今回、診断のついた患者群からさらに糖尿病性腎症病期分類において第一期、第二期にあたるCcr正常群を選択し、早期腎症以前群ではHT群よりHT+DM群のUCCRが高値を示すこと、また、AEIが正常範囲とされる第一期でもUCCRが高血圧を合併している群で高値を示すことを見い出した。このことからUCCRはAEIに比べ、早期腎障害の指標である可能性が示唆された。

開催期日 2006年9月 24日
学会名 第32回 京都医学会(京都市)
演題名 慢性腎不全保存期の外来治療指針について
発表者 本村俊二*1, 山川高哉*1、安井国香*1、根津孝浩*1、山崎由香*1
真柴新一*2、後藤明子*2、
*1本村医院、*2株式会社いかがく
要約 -
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開催期日 2006年9月2日-3日(大阪)
学会名 第24回 日本大腸検査学会総会
演題名 パネルディスカッション「大腸癌検診スクリーニング法」
便中ヘモグロビン以外のスクリーニング項目についての検討
発表者 松瀬 亮一1)、平田 一郎2)
1)京都医科学研究所
2)藤田保健衛生大学 消化管内科
要約 -

開催期日 2006年 6月 23-25日
学会名 第51回日本透析医学会学術集会・総会(横浜)
演題名 人工腎患者に診られる流血中β-Amyloid protein値について
発表者 本村俊二*1, 山川高哉*1、安井国香*1、徳本こころ*1、
真柴新一*2、内田壱夫*2、
*1本村医院、*2株式会社いかがく
要約 -

開催期日 2006年 6月 23-25日
学会名 第51回日本透析医学会学術集会・総会(横浜)
演題名 人工腎患者に診られる高β-Amyloid protein(BAP)血症の検討(I)
HPM(II型血液浄化器)の血清酸化ストレス指標の変動
発表者 真柴新一*1、内田壱夫*1、山川高哉*2、安井国香*2、徳本こころ*2、
本村俊二*2, 
*1株式会社いかがく, *2本村医院
要約 -
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開催期日 2006年6月 14-16日
学会名 第49回日本腎臓学会学術総会(京王プラザホテル)
演題名 尿中シスタチンCは糖尿病における腎障害の鋭敏なマーカーである
Urinary cystatin C level is a marker of high-sensitive renal damage in patients with diabetes meritus
発表者 真部聖子*1、大蔵隆文*1、入田 純*1、倉田美恵*1、三好賢一*1
渡邉早苗*1、福岡富和*1、檜垣實男*1、後藤明子*2、内田壱夫*2, 
*1愛媛大学医学部第二内科、*2株式会社いかがく
抄録 【目的】
尿中シスタチンC排泄量は尿細管機能の指標であることが報告されている。本研究では、糖尿病患者(DM)および本態性高血圧患者(HT)において尿中シスタチンC/クレアチニン比(uCysC/Cr)を測定し、その有用性を尿中アルブミン/クレアチニン比(uAlb/Cr)と比較することで検討した。
【対象および方法】
DM群47名、HT群65名、DM+HT群59名を対象とした。腎機能の評価として血清クレアチニン、uAlb/CrおよびuCysC/Crを計測した。
【結果】
3群間で性別、年齢、BMIおよび血清クレアチニンは有為な差を認めなかった。uAlb/CrおよびuCysC/CrはDM+HT群で有為に高値であった。uAlb/Crが30未満の正常尿患者98名ではDM群、DM+HT群でHT群に比べ有意にuCysC/Crが高値であった。このためuAlb/Crが30未満でかつuCysC/Crが0.65以上の異常値を呈する患者を検討した結果、17名のうち16名がDM群(9名)もしくはDM+HT群(7名)であった。
【結語】
尿中シスタチンCは糖尿病患者において微量アルブミン尿に比べより鋭敏な腎障害の指標である可能性が示唆された。
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開催期日 2006年5月10日
学会名 第79回日本産業衛生学会
演題名 歯肉溝滲出(貯留)液生化学検査の職域健康支援活動への応用
?BMI・尿・抹消血生化学検査値との関係?
発表者 埴岡隆*1、松尾忠行*2、松瀬亮一*3、伊豆丸美恵*4、山本良子*4
*1福岡歯科大学、*2福岡医療短期大学、*3株式会社いかがく、
*4(財)日本予防医学協会
要約 -

開催期日 2006年5月10日
学会名 第79回日本産業衛生学会
演題名 勤労者の産業ストレスが歯周病の進行に及ぼす影響
発表者 田中宗雄*1、西田伸子*1、山本裕美子*1、木林美由紀*1、
松瀬亮一*2、中山邦夫*3、森本兼嚢*3、雫石聰*1
*1大阪大学大学院歯学研究科、*2株式会社いかがく、
*3大阪大学大学院医学系研究科
要約 -

開催期日 2006年5月9日-12日(仙台)
学会名 第59回 日本産業衛生学会総会
演題名 勤労者の産業ストレスが歯周病の進行に及ぼす影響
発表者 田中 宗雄1),西田 伸子1),山本 裕美子1),木林 美由紀1),
松瀬 亮一2),中山 邦夫3),森本 兼曩3),雫石 聰1)
1)大阪大学 大学院歯学研究科 予防歯科教室
2)京都医科学研究所
3)大阪大学 大学院医学系研究科 社会環境医学講座
要約 -
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開催期日 2006年3月26日(日)
学会名 第26回京都透析医会(京都)
演題名 腎機能(GFR)の臨床的指標について
発表者 (医)本村医院
 本村 俊二、山川 高哉、安井 国香、徳本 こころ、根津 孝浩、
 山崎 由香、四方 勲
(株)いかがく 研究開発部
 内田 壱夫、後藤 明子、真柴 新一
抄録 腎機能指標は、クリアランス法による機能検査数値とマーカーによる臨床的推定値によりなされてきた。指標値の測定法には外因性薬剤によるクリアランス法と内因性クレアチニン・クリアランス法があり、直接数値を計算数値として挙げられ、最高である。しかし、その術式が煩雑であり、敬遠された。また、一方では臨床の進展とともに安全性と正確性が要求されてきた。さらに簡便性の要求が加わり、益々その選択肢の採用には迷いが生じて来た。臨床的マーカーとしては、時代とともにNPN,BUN,Cr,BMGと次々と採用されてきた。何れも一長一短ある。今日でも現場での選択は長年の懸案である。
即ち、現場では、機能検査とマーカー数値の両者が採用されている場合が多い。
われわれは、長年20年以上、内因性24時間クレアチニン・クリアランス値測定とマーカーとしてCrとBMGを測定して、患者の腎機能の査定試料としてきたが、その特異性について常に一考せざるを得なかった。それで、そのより正確なものを常に探索していた。 これらの成績を振り返りみて、今回は、われわれがマーカーとして採用して測定していたCystatinC(昨年10月医療保険にも採用された)の卓越した有用性をわれわれの過去の成績と比較検討して報告したい。

開催期日 2006年 3月 24日
学会名 第70回 日本循環器学会総会・学術集会(横浜)
演題名 ApoA1-LDL Complex in Coronary Artery Disease ? Oxidized Lipoprotein and Inflammation
発表者 Shunsuke Matsuno*1, Ken Ogasawara*1, Shinichi Mashiba*2,
Hideki Hashimoto*3, Kazuo Uchida*2, Hitoshi Sawada*1, Tadanori Aizawa*1
*1 The Cardiovascular Institute, Tokyo,
*2 Kyoto Medical Science Laboratory,
*3 Department of Health Management and Policy, Graduate School of Medicine, Univ. of Tokyo
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開催期日 2006年 3月 11-14日
学会名 AMERICAN COLLEGE OF CARDIOLOGY 53ND ANNUAL SCIENTIFIC SESSION
(ATLANTA)
演題名 ApoA1-LDL Complex in Coronary Artery Disease ? Oxidized Lipoprotein and Inflammation
発表者 Shunsuke Matsuno*1, Ken Ogasawara*1, Shinichi Mashiba*2,
Hideki Hashimoto*3, KazuoUchida*2, Hitoshi Sawada*1, Tadanori Aizawa*1
*1 The Cardiovascular Institute, Tokyo,
*2 Kyoto Medical Science Laboratory,
*3 Department of Health Management and Policy, Graduate School of Medicine, Univ. of Tokyo
要約 【BACKGROUND】
Both inflammation and oxidation of lipoproteins are mutually dependent and have strong relation to the development of atherosclerosis.
【METHODS】
To determine the role of inflammation and oxidized lipoproteins in the process of coronary artery disease (CAD), we measured serum lipoproteins, C-reactive protein (CRP), serum amyloid A (SAA) and Apo A1-LDL complex, which is newly identified oxidized LDL, in consecutive 475 patients who underwent diagnostic coronary angiography. Serum levels of the apoA1-LDL complex were assayed by newly developed sandwich enzyme-linked immunosorbant assay method.
【RESULTS】
The patients consisted of 84 with unstable angina (UA), 258 with stable CAD (STA) and 133 without CAD (CON). The values of inflammatory markers and Apo A1-LDL complex are shown below.

UA(n=84) STA(n=258) CON(n=140)
CRP (mg/dl) 0.11 (0.064-0.219) 0.086 (0.055-0.18) 0.083 (0.05-0.155)
SAA (μg/ml) 5.6 (2.78-11.65) 5.1 (2.7-9.15) 4.9 (2.85-8.15)
Apo A1-LDL (μg/ml) 44.5 (35.8-51.9) 27.2 (19.7-35.7) 24.1 (18.1-29.1)

The data are expressed as mean±SD or median (25th, 75th percentile). By logistic regression analysis, only Apo A1-LDL complex was independent and statistically significant to predict CAD (p=0.002) and to discriminate unstable angina (p<0.001) even after controlling for classical risk factors (age, gender, diabetes, hypertension and serum HDL cholesterol level).
【CONCLUSION】
The serum level of Apo A1-LDL complex, newly identified oxidized LDL, can be a more sensitive marker of CAD and acute coronary syndrome than CRP.
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開催期日 2006年 3月 11-12日
学会名 第21回ハイパフォーマンス・メンブレン研究会(東京)
演題名 HPMの二律背反の探索(II)血液浄化器II型(HPM)の生体適合性の再検討 酸化LDLとoxidized ATの反応動態について
発表者 本村俊二*1、山川高哉*1、安井国香*1、徳本こころ*1、
内田壱夫*2、真柴新一*2
*1本村医院、*2株式会社いかがく, 
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開催期日 2006年 3月 11-12日
学会名 第21回ハイパフォーマンス・メンブレン研究会(東京)
演題名 HPMの二律背反の探索(I)人工腎患者に診られる流血中β-Amyloid proteinの動態
発表者 本村俊二*1、山川高哉*1、安井国香*1、徳本こころ*1、
内田壱夫*2、真柴新一*2
*1本村医院、*2株式会社いかがく, 
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