ウイルス性胃腸炎
ロタウイルスアデノウイルス、アデノウイルス、SRSV、アストロウイルス



ウイルス性胃腸炎は、ウイルスが小腸などの粘膜上皮を破壊しながら増殖し、嘔吐、下痢などの症状を引き起こすことをいいます。ウイルス性胃腸炎は、夏を中心に流行する細菌性胃腸炎と違って、冬に多く発生します。また、昔、白痢といわれていた、冬季乳幼児下痢症の実体もこのウイルス性胃腸炎であることがわかってきました。

原因となるウイルスは、ロタウイルス、アデノウイルス、小型球形ウイルス(SRSV)、アストロウイルスなどがあります。

ロタウイルス

人に、感染するロタウイルスには、A群、B群、C群の3タイプあり、主にA群による胃腸炎の発生が多いといわれています。冬季に乳幼児の間で流行する下痢症の80%はロタウイルスが原因で、特徴として白色〜黄色の水様状下痢便がみられます。

アデノウイルス

アデノウイルスは、1〜41型に分類され、胃腸炎を起こす原因ウイルスは、40、41型です。ロタウイルスに次いで、乳幼児下痢症の重要な原因ウイルスとされています。

小型球形ウイルス(SRSV)

1970年前半に発見されたウイルスで、別名、カリシスウイルスともいわれています。汚染された生カキや貝から感染し、時に集団発生を引き起こします。

アストロウイルス

乳幼児下痢症で、非ロタウイルス、非アデノウイルスが疑われた場合の原因ウイルスとして注目されています。


主なウイルス性胃腸炎の臨床的意義
ウイルス名 ロタウイルス
(A,B,C群)
アデノウイルス
(40,41型)
小型球形ウイルス
(SRSV)
アストロウイルス
罹患年令 乳幼児 乳幼児 主に成人 乳幼児、成人
流行時期 冬〜春 通年 秋〜冬
感染経路 食物、水、糞便 糞便 生カキ、二枚貝
水、糞便
食物、水、糞便
便の性状 水様下痢
白色〜黄色便
下痢(酸臭)
(長期間)
下痢 軽い下痢
症状 嘔吐、下痢、腹痛
発熱、脱水症状
嘔吐、下痢、腹痛 嘔吐、下痢、腹痛
悪心、かぜの症状
嘔吐、下痢、腹痛
潜伏期間 1〜3日 7〜8日 18〜48時間 1〜4日
検査方法 抗体検査(血液)
抗原検査(糞便)
抗体検査(血液)
抗原検査(糞便)
確立されていない 確立されていない