肺疾患(肺炎)



肺は、体内に酸素を取り入れ、二酸化炭素を吐き出す働きをします。鼻や口から吸い込まれた酸素は、気管・気管支を通って肺に送られ、心臓から運ばれた血液中の不要な二酸化炭素と交換されます。酸素を受け取った新鮮な血液は、再び心臓へ送られ全身の組織に運ばれます。

肺炎とは、さまざまな病原体の感染によって肺に炎症が起こった状態をいいます。健康な人はのどや気管・気管支などで空気中の病原体を排除することができますが、風邪などをひいて免疫力の低下している人は、のどや気管・気管支に炎症が起き、病原体を排除できずに肺にまで入ってしまい炎症を起こしてしまいます。

肺炎の分類

肺炎は、さまざまな病原体により下表のように分類されます。

肺炎の分類と主な起因病原体
細菌性肺炎 インフルエンザ菌、肺炎球菌、レジオネラ菌、A群溶連菌など
ウイルス性肺炎 インフルエンザウイルス、 アデノウイルス、 サイトメガロウイルス、 RSウイルスなど
マイコプラズマ肺炎 マイコプラズマ・ニュウモニエ
クラミジア肺炎 クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、クラミジア・ニュウモニエ
カリニ肺炎 ニューモシスチス・カリニ
深在性真菌症
(真菌性肺炎)
真菌(カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカスなど

症状

喉の痛みや鼻水、鼻づまり、咳、頭痛といった風邪の症状から始まり、ひどくなると高熱が続き、痰、呼吸困難、胸痛、顔面紅潮、チアノーゼ(唇や爪が青くなる)などの症状が現れてきます。

主な検査方法

肺炎の臨床検査には、下表のような検査があります。


肺炎の主な検査とその臨床的意義
細菌学的検査 主に喀痰や血液を培養し、原因となった細菌や真菌を調べる方法。
抗原検査 原因菌や原因ウイルスの存在を調べる方法。
最近では原因菌や原因ウイルスのDNAまたはRNAを検出する方法が利用されています。
抗体検査 細菌やウイルスの感染によって作られた血液中の抗体検査を調べる方法。
抗体量の変化で感染の有無を判断したり、感染後の経過観察に利用されています。
(1→3)-β-Dグルカン β-Dグルカンは真菌の細胞壁に含まれる成分で、真菌症の感染を調べる

予防方法

 ・風邪をひかないように注意する。
 ・うがいや歯磨きで口の中を清潔にする。
 ・換気をし、室内の空気を清潔に保つ。
 ・禁煙する。

 老人や乳幼児は、免疫力が弱いため、肺炎になりやすく、特に注意が必要です。