膵臓機能検査




膵臓は、おへその上、胃の裏側に位置しており腹部の内臓の中で最も深いところにある臓器です。長さは約15cm、重さは約70gで左右に細長く、バナナの形に似ています。膵臓の右側は十二指腸に接続し、そこから膵液である消化酵素を十二指腸に送り出します。

膵臓の働き

膵臓は外分泌機能、内分泌機能という二つの重要な働きを持っています。

1.外分泌機能(消化酵素の分泌)
  食物を消化、吸収するために、蛋白質、脂質、糖のそれぞれの栄養素を消化する酵素を分泌し十二指腸へ送り出す働きをします。
2.内分泌機能(ホルモンの分泌)
  血液中の糖をコントロールするインスリンやグルカゴンというホルモンを膵臓の中にあるランゲルハンス島という細胞から分泌し血液中に送り出す働きをします。
膵臓の主な病気

膵炎 膵臓から分泌される消化酵素によって、膵臓自体が消化され、炎症を起こす病気で、急性膵炎と慢性膵炎があります。強い腹痛や、下痢、嘔吐などの症状があります。
膵癌 初期には無症状であることが多く、進行すると背中の痛みや黄疸の症状が出てきます。
糖尿病 膵臓からインスリンが分泌できなくなり、血液中の血糖値が上昇します。

検査方法

膵炎や膵癌を血液中で調べる方法として、膵臓から漏れ出てきたさまざまな消化酵素や腫瘍マーカーを調べる方法があります。

主な膵臓機能検査

膵臓機能検査
アミラーゼ でんぷんや糖を分解する消化酵素。 膵臓と唾液腺から分泌されますが、ほとんどが膵臓由来です。血液だけでなく尿中からの検査も有用です。
アミラーゼ
アイソザイム
膵臓由来のアミラーゼ(P型)、唾液腺由来のアミラーゼ(S型)を調べることで、膵疾患、唾液腺疾患の診断に有用です。
リパーゼ 脂肪を分解する消化酵素。 胃液にも存在しますが、血中のほとんどが膵臓由来です。
トリプシン 膵臓のみから分泌される蛋白分解酵素。
膵PLA2 脂質を分解する酵素。特異性が高く、特に急性膵炎の診断に有用です。
PSTI 膵臓内でのトリプシンの活性を阻害し 膵臓の自己消化を防ぐ蛋白質。 膵炎のマーカーとして有用です。
腫瘍マーカー
CA19-9 膵癌、胆道系癌をはじめとする消化器癌で高値になります。しかし良性疾患でも高値になります。
CA-50
DUPAN−2
KMO-1 膵癌、胆道系、肝癌などで高値になり、良性膵疾患での陽性率は低く癌特異性の高い検査です。
Span-1
エラスターゼ1 膵臓に存在する蛋白分解酵素。 膵癌の早期発見に有用です。
NCC-ST-439 膵癌をはじめとする消化器癌、肺癌、乳癌で高値になります。
SLX 膵癌、肺癌、卵巣癌で高値になります。