肺癌



肺癌は、最近急速に増加している癌で、肺癌の死亡者数は、1998年に約5万人にも昇り、胃癌を抜いて第1位となり、肺癌は癌死亡者数の約20%を占めるようになりました。肺癌の好発年齢は50歳〜60歳代が最も多く、次いで70歳代となります。男女差は3:1と男性の方が多いです。肺癌の原因の1つとして、タバコが挙げられますが、現在タバコの消費量は減らず、10代の人や女性の喫煙率が上昇していることと、人口の高齢化とともに今後も肺癌は増加し続けると予想されています。
肺癌の種類
 肺癌は、癌細胞を顕微鏡で見ることによって、下記の4つの組織型に分類されます。
 
肺癌の種類
腺癌 唾液の出る唾液腺や胃液の出る胃腺などの腺組織と似ている癌細胞のことです。肺の抹消にできることが多く、最近増加している癌で、日本人の40〜50%が腺癌です。
扁平上皮癌 皮膚や粘膜の組織である扁平上皮に似ている癌細胞のことです。肺の入り口にできやすく、喫煙との関係が深く、肺癌全体の25〜30%を占めます。
大細胞癌 腺癌、扁平上皮癌以外の組織で、大きな細胞をいいます。肺癌全体の数%と比較的少ない癌です。
小細胞癌 腺癌、扁平上皮癌以外の組織で、小さな細胞をいいます。肺癌全体の10〜15%を占めます。小細胞癌は、他の組織型に比べて、進行が早く、転移もしやすいのが特徴です。

症状
 一般的には無症状ですが、時には、咳、血痰、微熱、胸痛などの症状があります。

検査方法
 肺癌の検査には、レントゲン、CT、喀痰検査、気管支鏡検査、血液中の腫瘍マーカー検査などがあります。また肺癌はタバコの影響が強いことから、タバコ喫煙習慣のマーカーとして、タバコに含有されるニコチンの代謝産物であるコチニンを尿中や唾液から調べる検査もあります。

主な腫瘍マーカー検査
CEA 各消化器癌、肺癌、胃癌などで上昇し癌のスクリーニング検査として用いられます。喫煙や良性疾患でも上昇します。
SCC 扁平上皮癌で高い陽性率を示します。 CEAのように喫煙の影響を受けません。
シフラ
扁平上皮癌に比較的特異性があり、病状の経過観察に有用です
SLX 腺癌で高い陽性率を示します。 良性疾患での偽陽性率が低く、癌特異性が高い検査です
NSE 小細胞癌で高い陽性率を示します。
ProGRP 小細胞癌で高い陽性率と特異性を示します。早期診断に有用です。