ウイルス性肝炎
A型B型C型D型E型F型G型TTV型主な検査法



ウイルス性肝炎とは、主に肝臓で、ウイルスが増殖し、肝機能障害を起こす感染症をいいます。近年の研究の進歩によりウイルス性肝炎は、A、B、C、D、E型肝炎が明らかにされ、さらに最近、F、G、TTV型肝炎の存在が発見されました。それに伴って各々のウイルス肝炎に特異的な抗原、抗体、ウイルス遺伝子などの検査方法が開発され、診断や病態の把握、治療効果などの判定に応用されています。

A型肝炎

 感染経路 : 経口感染、汚染された魚介類、水から感染する
 病   態 : 急性肝炎、時に劇症肝炎となる。
          大半は約4〜8週間で治癒し、慢性化することはなく、予後良好な疾患

B型肝炎

 感染経路 : 血液感染、出生時に感染する母子感染(垂直感染)、家族内感染(水平感染)、
          性行為による感染(STD)
 病   態 : 一過性感染と持続感染にわけられる

  (一過性感染) 
   大半は不顕性感染(感染しても発症、発病しない)、時に急性肝炎、劇症肝炎となる

  (持続性感染) 
   大半は乳幼児期に親から感染する。感染していても発症しない時期(無症候性キャリア)を
   過ごし、思春期から成人期に肝炎を発症する。
   約90%は鎮静化するが、時には慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと移行する

C型肝炎

 感染経路 : 血液感染
 病   態 : 急性肝炎を発症し大半は、持続性感染となり慢性肝炎となる。
          その約45%が肝硬変、その20%が肝癌へと移行する

D型肝炎

 B型肝炎と共存することによってのみ増殖できるウイルス。感染経路、病態ともB型肝炎と同じ。
 しかし、B型肝炎の同時感染および重複感染はB型肝炎単独に比べ重症化、憎悪進展を起こ
 す頻度が高い。

E型肝炎

 感染経路 : 経口感染
 病   態 : 急性肝炎、大半は2ヶ月で治癒し、慢性化することはない。
          A型肝炎に似ているが、妊婦に感染すると10〜20%が劇症肝炎となり母子ともに
          致死率が高い。

F型肝炎

  一般には存在は認められていない

G型肝炎

 感染経路 : 血液感染
 病   態 : 十分に明らかにされていない
          他の肝炎ウイルスがすべて陰性で肝炎ウイルス以外の原因の肝障害が考えにく
          い場合

TTV型肝炎

 感染経路 : 血液感染、経口感染
 病   態 : 十分に明らかにされていない
          他の肝炎ウイルスがすべて陰性で肝炎ウイルス以外の原因の肝障害が考えにく
          い場合


肝炎の主な検査法

肝炎種類 検査方法 臨床的意義
A型肝炎 HA抗体 現在または過去の感染
IgM HA抗体 感染初期
B型肝炎 HBs抗原 現在の感染
HBs抗体 過去の感染、防御抗体
HBc抗体 現在または過去の感染
IgM HBc抗体 初感染の発症早期
急性、慢性B型肝炎の急性憎悪期
HBe抗原抗体 ウイルスの活動期
HBV−DNA ウイルスの存在
C型肝炎 HCV抗体 現在または過去の感染
HCVコア抗体 ウイルスの増殖
HCV−RNA ウイルスの存在
D型肝炎 デルタ抗体 現在または過去の感染
E型肝炎 HEV−RNA ウイルスの存在
G型肝炎 HGV−RNA ウイルスの存在
TTV型肝炎 TTV−DNA ウイルスの存在