大腸は、消化吸収された残りの腸内容物からさらに水分を吸収し、便を形成する臓器です。長さは、約1.5mあり、盲腸からはじまり上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門に分けられます。なかでも、S状結腸、直腸に大腸癌が出来やすいと言われています。
大腸癌は、以前、欧米人に多いと言われていました。しかし日本でも食生活の欧米化に伴い、大腸癌の罹患率および死亡率は、増加傾向にあります。毎年、約6万人が罹患し、21世紀に入り胃癌を抜くと予測されています。性別に差はなく、男性、女性とも同じ頻度でかかります。大腸癌になりやすい年齢は、60歳が一番多く次いで70歳、50歳と続きます。 |
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症状
腹痛、血便、下痢や便秘などの排便異常。
主な検査方法
1.免疫便潜血反応
大腸および消化器系から出血した血液(ヘモグロビン)を便中から検出する方法。
大腸の最初の検査方法として広く利用されています。
(特徴)
・肉、魚などの血液に影響されない為、食事制限がない。
・目に見えない少量の出血でも検出可能。
・苦痛なく、簡単に検査できる。
(欠点)
・痔でも陽性になる。
・早期癌は出血しにくいため陰性でも大腸癌の可能性がある。
・便中ヘモグロビンは不安定なため、陰性でも大腸癌の可能性がある。
2.内視鏡検査
内視鏡を、大腸に挿入し、臓器の病変をその場で診断する検査。
また病変部位(ポリープ)を摘出し、顕微鏡で組織を観察する病理学的検査を行い、
大腸癌であるかどうかを調べることができます。
(特徴)
・癌を確実に診断できる。
・同時にポリープも切除できる。
(欠点)
・苦痛を伴う場合がある。
3.腫瘍マーカー(CEA、CA19−9など)
血液中から、癌細胞が産生する蛋白質や酵素などを調べる検査。
特異性がなく、早期癌では増加しにくいため、主に治療効果と経過観察に用いられています。
大腸癌は、自覚症状が出にくいと言われていますが、早期に発見されれば、ほとんど完治すると言われています。
そのためにもさまざまな検査方法が開発されています。出血の見逃しをなくすために便中ヘモグロビン・トランスフェリン同時測定法が開発されました。また最近、大腸癌の原因遺伝子が発見され、遺伝子を調べる検査もあります。
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