遺伝病



遺伝子は体に必要なたんぱく質を作り出すための情報を伝える働きをします。ほとんどの生物の細胞は遺伝子の情報に基づいてたんぱく質が組み立てられたものです。つまり遺伝子は生命の設計図の働きをしています。

人間の体にはおよそ60兆個の細胞があります。各細胞内の核内にはDNAがあり、遺伝子はこのDNAに含まれています。DNAは2本の縄のような形をしていて、23対46本の染色体として組み込まれています。染色体は、多くの遺伝情報がしまわれている22対44本の常染色体と性別を決めるための情報がしまわれている1対2本の性染色体があり、その遺伝情報はそれぞれ1本ずつ父親と母親から子へと受け継がれていきます。

遺伝病とは

細胞が分裂増殖するとき、遺伝子は全く同じように複製しますが、時に失敗して親と違う設計図を作ってしまいます。これを突然変異といいこの遺伝子を親から子へ受け継いで発症した場合を遺伝病といいます。


遺伝病は大きく分けて次の3種類に分類されます。
常染色体優性遺伝 常染色体2本のうちどちらかに異常があると発症する病気。つまり片方の親由来の遺伝子だけが異常で発病するもの。異常遺伝子が子に伝わる確立は50%となります。
常染色体劣性遺伝 常染色体2本のうち、1本に異常あっても正常な方が優位に働いて発病せず、両方とも異常な場合には発病する病気。つまり両方の親から異常な遺伝子を受け継いで発病する病気。
伴性遺伝 性染色体における遺伝子に異常がある場合に発病する病気。男性はX染色体が1本しかないので(女性は2本)、X染色体に異常があると発病する病気。男性に多く発病します。

主な検査

血液を培養して染色体の数、構造、変異部などの有無を調べる検査の他に、電子顕微鏡などで遺伝子の異常を調べる遺伝子診断があります。また同じ技術を応用してウイルスや細菌などの遺伝子の存在を検出することで今までより早く病気の診断が出来るようになりました。たとえば結核菌の検査では、培養するのに4〜8週間要していましたが、遺伝子診断(結核菌DNA)では2〜3日で診断できるようになっています。